十二国記 作者の価値観がにじみ出る素晴らしき物語

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十二国記の最新刊「白銀の墟 玄の月」を読んだ。

諦めない人たち、執念とも言える信念。奇跡のような展開は「奇跡」ではなく、ただ「最後まで諦めなかったこと」が導いた結末なのだと思った。

十二国記は、思えばいつもそうだった。これでもかというほど悲惨な目に遭いながら、それでも諦めずに立ち上がり続ける人たちの物語だった。努力なくしては奇跡は起こり得ない、努力に努力を重ねてやっと最後に掴み取れるのが奇跡……そういう物語だと感じた。

泰麒はこんな強靱な麒麟だったろうかと思ったものだったが、戴国に関わる物語をざっと読み直してみて納得。「風の海 迷宮の岸」の頃から、泰麒は鋼のような意志を持つ黒麒だったのだなぁと……。

「魔性の子」では土下座しろと言われ、絶対にイヤだと断った高里。最新刊での描写を見て、あれほどまでに苦しいものならば本能的に避けてしまうのも自然なことなのだろうと思った。それをなし遂げ、麒麟の本能に逆らい続けた信念は、もはや執念だ。

途中何度も迷い、揺らいでしまう周りの人たちを、泰麒と李斎は決して諦めず、強い信念で導き続けた。途中、何度も「このまま最悪な終わりを迎えるのか」と不安になり、4巻の最後では「こんな少ないページ数で何かが起きるのか」と思いながら読んでいた。「白銀の墟 玄の月」は何年も待ち続けた期待を全く裏切らなかった。まさにこれを待っていた。

十二国記は「逆境でも諦めなければ必ず成功する」という信念に裏打ちされた物語であるように感じる。それが作者の価値観なのではないかと思った。そして、そういう「作者の一貫した価値観が物語に現れること」がとても好ましいと感じた。

思えばぼくがメルスト(ゲーム)のシナリオに好感を抱くのも、シナリオライターの価値観、人生哲学を強く感じるからだ。十二国記は何年も読んでいなかったが、新作を契機にちびちび読み直して、貫かれる信念の強さに感銘を受けた。

物語の中に作者の価値観を見出せるようになったのはごく最近だ。そして、その素晴らしさに気づいたのも。それを気づかせてくれた作品のひとつが十二国記であってよかったと思う。何度も読み返して人生の支えにしたいシリーズだ。

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