「さよならを教えて」考察2 五芒星と魔法陣・登場人物考察など(ネタバレ注意)

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この記事は全面的にネタバレしているので注意。自力でプレイしたい方はDLSiteでDL版が販売されているのでそちらをどうぞ。

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考察1で意味わからんくらい長い記事であらすじ兼考察をした。なのにまだあるのかよって話であるが、改めて考察記事だ。当然だがネタバレ満載。

考察1:

五芒星と魔法陣について

ぼくもつい最近人様の考察で知ったのだが、各ヒロインの姓は山手線の駅名であり、終盤に主人公がヒロインに会いに行く順を山手線の路線図で辿ると五芒星になる。プレイし直そうと思ったきっかけのひとつはこれだ。実際に線を引いてみようと思ったのだ。

なお、儀式が始まった後エンディングまで、ヒロインが登場する直前に魔法陣が表れる。「お姫様」の場合は光り輝いている。

この魔法陣のようなものに描かれているのは、ヒロインたちのフランス語の別名と星座のシンボル、そしてアルファベットだ。

  • ange ? 丸の中に太陽?
  • chat 獅子座(星座のエレメント:火)男性宮
  • poupee 蠍座(星座のエレメント:水)女性宮
  • noir 牡牛座(星座のエレメント:土)女性宮
  • vent 水瓶座(星座のエレメント:風)男性宮

これらの星座は全て「不動宮」。占星術のサイトによると、不動宮は「変化を嫌い、同じところに留まろうとする。同じことを繰り返す。」と書かれ、停滞のニュアンスがある。「永遠」と言い換えてもいいかもしれない。

アルファベットの意味はぼくにはわからなかった。

この魔法陣は儀式の折に主人公が校庭に描くものでもあるようだ。

つまりヒロインたちのフランス語名は主人公が名付けた可能性がある。

星座記号についてはどの程度関わっているのかわからないが、望美が「風」の星座、御幸が「土」の星座なのはそれぞれしっくりくる描写がある。

追記:考察3にも書いたのだが、星座の「男性宮」(外向的)と「女性宮」(内向的)は関係ありそうだ。

各ルートの五芒星

主人公は「儀式」のあと、もう一度ヒロインたち全員に会いに行く。そのため、儀式とその翌日に分けて、山手線の画像に線を引いてみた。そうしてわかったことがある。

まずは架空ヒロインたちのルートの画像を載せよう。

望美ルート

まひるルート

御幸ルート

こよりルート

ここまでの考察

主人公はヒロインたち全員に会いに行くことを2回繰り返す。なぜなのだろうと不思議だったのだが、五芒星を描いてみてわかった。最初の日は開始点に戻らないため、五芒星にならない。つまり、初回の儀式は不充分で、翌日やり直しているのだ。

そして五芒星が完成し、主人公は妄想世界に「さよなら」し、やることがなくなって絶望して、新たな「やること」を見つけ出すために新しい妄想を始める……。

だが、この流れに沿わないヒロインが一人いる。それが睦月だ。

睦月ルート

ここで睦月ルートで主人公が辿った順に線を引いてみよう。

この結果になったとき、我が目を疑った。自分のメモが間違っているのかとも思った。だが、睦月ルートは2周しているので両方のメモを確認したが、確かにこうなっている。1回目は他のヒロインと同じだが、睦月は2回目でも五芒星になっていないのだ。

誰か知っている人がいたら教えてほしい。この形に意味があるのだろうか? 主人公が「閉じてしまった日常の円環を開くための巡礼」と言っているのだが、この図にそういう意味があるのだろうか?

3人目とした睦月は姿を現してはおらず「日暮れ時に」と言うのみなので、それを考慮すると……こうなる。

いずれにせよよくわからない図になってしまう。この図に何か意味はあるのだろうか?

「頃合いだから」と主人公が会いに行こうとしたときに睦月に「日暮れ時に」と指示をされる、というのも意味深いものを感じる。主人公は儀式のタイミング通り(?)に向かおうとしたところを、“睦月の指示で”タイミングを変えられているのだ。

ぼくにはこれが儀式の失敗を意味しているように思えてならない。

この奇妙な図形に意味がある、もしくは「魔術的な儀式から開放され、真の意味で救われた」と考えるならば、主人公は現実の世界に帰って来ていなければおかしい。

だが、現実には主人公は妄想を再び始めるのだ。それに、ヒロインたちの前に五芒星が現れることも考えると、五芒星への強いこだわりが見てとれる。だからこそ五芒星になることこそが儀式の成功であり、睦月ルートの主人公は妄想上の睦月との別れの儀式に失敗したと解釈できる。天使様の樹の前で「救われた」とさえ感じているのに、だ。

「失敗」を裏付ける根拠はもうひとつある。他のルートでは主人公は校庭に魔法陣を描くが、睦月ルートでそのような描写が無かったように思うのだ。ぼくの確認ミスならばいいが、そうでなければ……。主人公は儀式の手順を誤り、失敗した。よりにもよって現実に存在する少女の妄想を断ち切るための儀式で。

さらに救いが無い話をすると、最終日に出会っている睦月は妄想上の睦月と思われる。つまり……主人公は自らの意志で儀式を失敗している。現実に戻るきっかけを自ら捨てているのだ。

こう考えるとラストシーン、ヒロインたちが「先生!」と集うシーンが非常に納得がいく。睦月以外のヒロインたちは主人公が昔好きになった少女の外見をしているらしい。そして睦月もその仲間入りをしてしまった……。彼女も昔好きになった少女の一人として、新たな妄想世界に架空存在として現れるのだろう。

この結論に到達したとき、とんでもない絶望を掘り起こしてしまったと思った。しばらくは動悸が止まらなかった。「さよならを教えて」はここまで徹底的に「救い」を排除した物語だったのだ……。

どうか睦月ルートで主人公が辿って描いた形に意味が存在してほしい。ぼくの出した結論が誤りであってほしい。そう願わずにはいられない。

追記

設定資料集を買ったあとしばらく経ってから、五芒星について再び考察したよ。もっとひどい結論が出たが、逆に納得もした。

登場人物考察

次は登場人物について。ある程度は前回の記事にも書いたが、長すぎて読み返すのが大変なので、まとめ直す。

主人公

主人公は猜疑心が強く、劣等感が強く、コンプレックスの塊だ。姉とは昔から折り合いが悪い。

そして少年時代は虫や猫を殺すという残虐性を持ち、自分よりも弱いものをいたぶることで心を保っていた。その精神性は今でも変わらず、妄想上の少女たちにも暴行する。

現実に戻るきっかけがあってもすぐに妄想世界に閉じこもり、現実を必死に見ないようにして暮らしている。しかしながら妄想世界でも苦しみを感じ続け、世界を終わらせてしまう。

彼は現実でも妄想でも続く終わり無き苦しみから「さよなら」をしたいのだと思われるが、それでいて、「さよなら」ができそうなきっかけからは必死に逃げ続けるのだ。

主人公の持つコンプレックスは様々だが、ひとつ思ったのは、彼は自分と年の近い女性とは恋愛や性行為ができないのではないかということだ。思い浮かべる少女たちが皆思春期の少女で、大人の女性でないのは、「自分より弱い立場だから」もそうだが、大人の女性……つまり同年代以上の女性は、彼にとって「恐ろしいもの」「避けたいもの」なのではないかと感じた。

また主人公の名は「人見広介」とされているが、本名かどうかは不明である。ぼくは偽名を疑っている。原盤では名前が変更できたのは、「本名以外ならなんでもいい」のではないだろうか……。

主人公は「白か黒か」と二極化した思考を持ち、自分を「黒」と感じており、「白に染まる」と「無」になる、と白を恐れている。また彼は死を「救い」と考えている節がある。ヒロインたちを「救う」と称して殺すのは、彼にとってはそれが救いだからだと思われる。彼にとっては筋の通った行動なのではないだろうか……。

となえ

ダメ医者となえ。彼女が医師としてダメなことは多数の人が指摘していて、今更ぼくが言うことではないのだが……。明らかにまずいのは、彼女自身が主人公に大きなダメージを与えている点。

  • 悪ふざけ(?)で七不思議の話をし、主人公の被害妄想を助長する
  • マリオの話で主人公を錯乱させる
  • 「教育実習は妄想」と断言し主人公の精神を崩壊に導く
  • 患者に対し自分に依存させるような治療方針を実行する

ダメすぎるだろう。

ただ、よく挙げられる「瀬美奈を主人公に会わせていた点」については彼女を弁護したい。なぜなら彼女は瀬美奈と主人公の間に確執があることを知らなかったのだ(まひるルートのエピローグで判明)。 知っていたら会わせなかったようなことを話していた。そのへんは常識的だった。

あとは純粋に疑問なんだが、彼女は投薬治療をしていないのだろうか。それとも主人公は薬を飲んでいるが、それを描かないだけなのだろうか。主人公は寝しなにビールを飲んでいたことがあるのだから、そんな行為もやめさけなければならないのだが……。

主人公はとなえにたびたび不信感を抱くが、それは彼の疑心暗鬼な性格がさせるほかに、となえがあまりにも医師として信頼できないせいなのもあるかもしれない……。

睦月

睦月は2種類いる。実在の睦月と、妄想の睦月だ。

そう、ここがややこしいのだ。実在の睦月と妄想の睦月は区別がつきにくい。正直に言って、ぼくも確証が持てない。

ただ、明らかに現実的でない外見で登場したとき(全裸、白濁まみれ、天使の羽つきなど)は大抵は妄想の睦月と思われる。また妄想の睦月は「先生」と呼ぶが、実在の睦月は「人見さん」と呼ぶ。ただしここにも例外があって、実在の睦月の言葉を「先生」とフィルターをかけて聞いている場合もあるように見えるのである。ややこしい。

そして妄想の睦月は主人公の思いを投影してできた存在であり、現実の睦月と全く別の言動をする。例えば他のヒロインルートで終盤出てくる白濁まみれの天使睦月は主人公のなんらかを投影してできた存在であることがよくわかる。

投影したものは「憧れ」「救い」その辺だろうか。現実の少女への率直な畏怖もあるように感じる。

フランス語名はange、そのまま「天使」だそうだ。

望美

望美は「生まれ変わりたい」と言い、主人公にたびたび「飛んじゃえばいいのに」と誘いをかける。彼女は主人公の自殺願望の表れなのかもしれない。

主人公は彼女を好ましく思っている。だが、「飛べないんだ」と飛ぼうとしない。その代わりに望美は飛び、主人公の願望を代わりに叶える……。

望美には「死にたい、消えちゃいたい」と思っても不思議でないような理由がある。彼女は父親に犯されていることになっている。つまりは死を正当化できる、飛んでもいい理由があるのだ。だが主人公には死ぬ理由すらない。「死ぬ理由がほしい、そうしたら死ぬのに」……そんな悲しい心情を体現しているように思う。

フランス語名はvent。「風」「大気」など自由なイメージがある。解放されたいという主人公の思いが込められているのだろうか。

まひる

まひるは睦月と並んで扱いの違うヒロインだ。まひるルートでのみ、最終日のトイレが明確に瀬美奈を陵辱するシーンになっており、エピローグでは瀬美奈が主人公との確執を語る。

それもそのはず、まひるは「主人公が昔飼っていた猫」つまり瀬美奈も知る存在を投影したヒロインなのだ。つまりはまひるもまた、主人公にとっては現実との接点のはずなのだ。

まひるは主人公に素直に懐き、慕うが、彼が飼っていた猫も、そしてまひると今呼んでいる猫も、そのように主人公を愛した猫だったのだろう。だが主人公は真っ当な愛情を生き物に向けることができないため、次第に残虐性を露にし始め、殺してしまう……。

作中ではサイズの違うまひるが登場することがあるが、おそらく主人公が「まひる」と呼んでいる猫は複数いるのだろう。

彼が飼っていた猫は「まひる」という名で、「まーちゃん」と呼んでいたと思われる。

フランス語名はchat。猫。

御幸

御幸は主人公と似ているとたびたび言われるばかりか、一部のシーンでは御幸と主人公の会話がさながら主人公の独白のようになっている部分もある。主人公が「身の上話を全て知っている気がする」と言うくらい、主人公と御幸は似ている。そのまま、主人公が自分自身を投影した存在であると思われる。御幸が少女であることを考えると、主人公の少年時代を投影したと考えたほうが自然だろうか。

だが、その御幸が主人公に対し初めのうちは拒絶的なのが興味深い。「そういうキャラクターだから」と思える部分でもあるが、「自分に対してだけは初対面から心を開いてくれた」などという都合のいい妄想も成立しうると思うのだ。

フランス語はnoir。黒。主人公が自分を「黒」と思っている点からも同一感があるのだろう。

こより

こよりは主人公のコンプレックスの対象を具現化した存在だろう。トラウマ的体験のメタファーでもあるのだろう。だからこそ不意打ちで登場し、主人公の攻撃はちょっとやそっとでは意味を成さず、主人公がやり込めようとしてもしぶとく反撃してくる。彼女はひたすらに手ごわい。

にも関わらず、主人公はこよりとの会話を嫌っておらず、こよりに「僕にはキミが必要なのに」などと言う。

コンプレックスやトラウマであれど、それが必要。壊したいが、なくなってほしいわけではない。そこに前向きな意図があるならば素晴らしいのだが、主人公の場合はそうではないだろう。彼は自分を苛み続ける存在が、死ぬ理由を作ってくれるものがほしいのではないだろうか……。それでいて苦しみからは逃れたいとも思っている……。

こよりに射られるシーンで、画面が暗転する場合と白に染まる場合がある。暗転したときは主人公はどうにか自分を保ったのだろうが、白に染まった場合は主人公が敗北を認めたと解釈した。

フランス語名はpoupee。人形。

瀬美奈

主人公の病状がよくならない原因のひとつは彼女だろう。彼女は責任を感じてか毎日見舞いに来るのだが、その割には主人公に当たり散らしたり、暴力を振るったりと、心に余裕がない。

そしてそれをとなえは知らないのだろう。となえの前で、瀬美奈は冷静で理性的だからだ。

主人公は瀬美奈を姉とは認識しないながら苦手と言い、避けたがる。彼女を赤の他人と妄想したのは、そのくらい遠ざけたい存在なのだと思われる。瀬美奈にとっても主人公は決して好ましい存在ではなく、過去には「いなくなればいい」と思ったこともあるという。

最終日、瀬美奈の陵辱シーンがあるが、あれはあくまで主人公の妄想であると思われる。事実だったならば瀬美奈がエピローグで冷静にとなえと主人公の話をしているのは違和感がある。彼女とは何事もなかったと信じたい。

主人公の妄想の特徴とタイトルの意味

主人公は「都合のいいハッピーな妄想」をしない。

教育実習では「苦手な日本史」が担当教科であり、好んで吸う煙草はヒロインたちに「嫌い」と拒絶される。望美が言う「煙草を吸っても吸わなくても先生は先生」とは、煙草のせいで拒絶されるのではなく、煙草を吸わなくても拒絶される……そんな意味合いに感じられてならない。

憧れていたと思われる睦月に「好きです」と好意的に接してもらえる妄想を一瞬したときにも、必死にその考えを拒絶してしまう。

妄想の少女たちとの性行為も、別れの儀式でこそ幸せなものになっているが、それ以前は暴力をぶつけ支配するような行為がメインだ。

彼は「日誌」も苦戦しながら書く。実際に大変なのだろうが、妄想に耽っている最中はいくらでも書くことがありそうなものだ。興が乗ってすいすい書くシーンもあるにはあるが、基本的には苦労している。

彼は妄想の中ですら素直に幸せを求めることができず、苦痛に苛まれ続け、自分で作り上げた妄想の世界にすら居場所を無くしてしまう。だが現実にも居場所がないため、また妄想の世界に戻っていく。

このように同じことを繰り返し、停滞した人生を送り、自分自身のせいでそこから抜け出すことが……「さよなら」が、できない。

だからこそ「さよならを『教えて』」という他力本願なタイトルなのだろう。

校舎で光っている部屋はどこなのか

最後に軽めの話。夜が来るとき、校舎で光っている部屋がある。

ぼくはずっとあれを玄関だと思っていたのだが、違うことに気づいたので、どこなのか探ってみた。

まずはマーカーを集合させた画像。画質悪いのと元々見えづらいのとで非常にわかりづらい。保健室は初日のみ確認可能。儀式の魔法陣出てるけど気にしないでくれ……。

夜が来ると校舎はこうなる。

んでこれをさっきの画像に「加算・発光」で重ねてみると、無事窓が光ってくれた。

夜になっても明かりがついている部屋は保健室だったようだ。

玄関でないことに気づいてからは主人公の病室が光ってるのかなーと思っていたんだが、違ったようだな……。保健室はさすがに診察室であることが疑いの余地がないし。でも暗くなっても明かりのついてる保健室……。そんなに遅くまでいるのか……?

おわりに

一生ぶんぐらいさよ教考察した。しばらくは考えたくないな……。

でもぼくまだ設定資料集買ってないんだよ。これね。(追記:後日買った)

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ちょっと今月は買えそうにないので、買えるまでの間にたまった毒を抜いておこう……。

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1つめの記事(あらすじ)はこちらからどうぞ。

サントラもいかが? 音楽で印象に残っている曲が少ないんだけど、じっくり聴いてみたい。

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